日本山岳協会、日本勤労者山岳連盟、日本山岳会など山岳関連団体の遭難対策関係者が集まり、1992年
に山岳レスキュー研究会として発足、1995年1月から登山者団体および職業ガイド団体による遭難対策の協 議会となった。 遭難事故情報の交換、積雪期の登山計画情報の集約及び配布、安全登山シンポジウムの開 催など各種の事業を実施している。
「レスキュー研究会とは」
斉藤 義孝
前日本勤労者山岳連盟理事長
全国連盟副理事長・遭難対策委員長(文章作成当時)
「レスキュー研究会」は九十二年十一月に遭難救助での山岳団体間の協力を目的として、東京都山岳連盟の呼びか
けに応じて東京で初会合が開かれ発足したもの。
これには日本山岳協会、日本アルパインガイド協会、日本山岳ガイド連盟、労山の四十四団体の代表と、関東近県
の岳連や労山都県連盟の遭対担当者が集まった。その後、日本山岳会も加わり、東京都岳連を事務局として遭難対 策や救助の問題を組織の違いを越えて話し合える唯一の協力・共同の場として活動を続けている。
九十三年四月には、五月連休の遭難対策を目的に「春山リーダー集会」を開催し、関東近県の各岳連、労山の山岳
会から約百人が集まり、雪崩れ対策や無線によるネットワークづくりの提案など、岳連、労山のワクを越えて山域毎に 万一の場合に現場での協力を行うことを目的として話し合われた。
同じく九十三年には、「関東近県遭対連絡員集会」を開き、緊急無線の運用についての講習と話し合いを行った。
また、九十四年正月連休では、NTTから借用した携帯電話十台と各パーティーの持つアマチュア無線を使って、北ア
ルプス蝶ヶ岳をレスキュー研のキー局として、各山域での携帯電話の使用可能範囲についての調査と、雪崩れや遭難 事故の情報についてのネットワークづくりをめざした。無線のネットワークは、実際問題としてはあまり機能していない が、事故発生時の無線連絡での救助依頼などでの協力や携帯電話の遭対面での活用の可能性などについて一定の 成果があったことが報告されている。
レスキュー研が、今後どういう役割をになってどういう活動をすべきかは、まだ議論が煮詰まっていないが、日常運営
や将来の方向性も含めて、関係団体間でもっと突っ込んで話し合うべき時期に来ているように思われる。
山岳遭難の防止は、特に通行年登山での事故の多発という現状からみれば、登山界全体の大きな課題である。レス
キュー研は、山岳主要団体を網羅した唯一の遭対分野の協力・共同組織であり、もっと発展させるため、労山にも一 層の努力が求められている。
<登山時報94年4月号掲載>
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